投稿者ペンネーム:紫月ルイカ

ガタンゴトン、ガタンゴトン。
平日朝の、混み合う山手線の車内。
渋谷駅で乗車したあたしは、ドア前に立ち、イヤホンでEDMを聴きながらスマホ片手に、
『例の年下大学生、超カワいくて最高だったぁ♡あの後、ジュリは誰とどこにいたのー?』
というアユミからのLINEに、なんて返信しようか頭を抱えていた。
筋肉質イケメン好きのあたしが、数時間前、まさかのマヂラブ・ピンク似のブサオジに、SMルームで抱かれてイッたことを、自分の中でまだ消化しきれてない。
だけど、いくら信じられなくても、あたしがブサオジのセックスで何度もイッてしまったのは事実だ。

『次はー、代々木、代々木、お出口は左側です……』
ドアが開くと、通勤の乗客がドドドッと押し寄せ、あたしはすし詰めの車内でサラリーマンに囲まれた。
ガタン、ゴトン。
電車が発車する。
「……」
左側に立ってる、安っぽい黒いスーツにグレーのネクタイをした、中肉中背の地味なサラリーマンが、あたしのほうをチラチラ見てる気がする。
歳は30代後半くらい、いかにもな陰キャでチー牛っぽい男だ。
街にいたら完全に埋もれるタイプ。
お笑い芸人で例えるなら、軽くコミュ障入った、NON STYLE井上の劣化版。
「……?」
イヤホンを外しながら、男の様子を確認してみる。
オフショルトップスの大きく開いたあたしの胸元と、デニムショートパンツから伸びる足を、男の視線がジロジロ行き来してるのは、気のせいじゃない、絶対。

『まもなく、新宿ー、新宿に到着です』
新宿駅では大量の人が降り、また大量の人が我先にと乗り込んできて、もみくちゃになる。
あたしはドアに押し付けられたまま、動けなくなった。
「……、……」
真後ろに、あの、黒スーツの地味サラリーマンがいる。
このサラリーマン、なんか、様子がおかしい。妙に息が荒くハアハアしてるのがわかる。
しかも、ぎゅう詰めの乗客のせいで、男の股間があたしのお尻に押し付けられている。
(やだ、なんか……ウソでしょ、あたし、また変な気分になってきちゃった……)
「……っ」
あたしは後ろ向きのまま、お尻を後ろにつき出し、ゆっくりと腰を上下に動かしてみた。
すると、男の息はますます荒くなり、股間をグイッと押し付けてくる。
(……さっきからお尻に、なんか硬いモノが当たってる気がする。まさか……)
気がするどころじゃない。完全に、勃起したペニスが、あたしのお尻に押し付けられてる。
ショートパンツ越しに、男の巨大化したモノがはっきりわかる。

「…………」
ゴソ、ゴソ……手を後ろに回し、スラックス越しに男の下半身を触る。あたしの手はもう止まらなかった。
硬いチンコの幹と、パンパンに張ったタマをゆっくりなぞる。
(っ、……!)
男の腰に両手を当てて引き寄せ、自分の腰をグラインドさせる。
数時間前、SMルームで男と散々セックスをしてきたっていうのに、あたしのアソコはまた濡れていた。しかも、染みるくらい。
ショーパンのほうまで確実に染みてる。朝の満員電車の中で。めっちゃ人に囲まれてるのに。
それなのに、ショーパン越しに押し付けられた男のモノの刺激がヤバくて、ありえない、変な声漏れそう……。
『──新大久保、新大久保です。お降りの方は……』
新大久保駅では一人も降りず、二人が乗車した。
より密度が増した車内で、黒スーツの男と向かい合わせに密着し、動けなくなった。
ブーン、ブーン……アハハ……
送風機の音と、お喋りする学生の声。周りの乗客は皆、あたしたちに背を向けて立ってる。
男と密着したまま、あたしは巻きが崩れかかった金髪をサイドによけ、オフショルをずらし、Dカップの盛りブラから谷間を覗かせた。

「、!…………」
劣化版ノンスタ井上似の男が、あたしの胸をガン見している。
男の手が、恐る恐るオフショルの中へ滑り、ブラの中に入り込み、ごそごそ動いた。
「、っ、……!」
まさか、チンコを勃起させながらもビビり気味の男に、生乳を揉まれると思わなかったあたしは、大勢の乗客に囲まれた状況で乳首を刺激され、もう完全に感じていた。
乗客は皆、スマホを見てたり下向いて寝てたり、お喋りに夢中だったり。あたしたちの猥褻行為に気づく気配はないし、ここは他の人からは死角だ。
あたしは応戦するように、男の股間に膝を当て、グリグリと動かした。
「……!」
男が、何かを訴えるような、若干困ったような目であたしを見る。
スラックスのポケットにさりげなく手を入れ、男の股間を確かめると、完全に勃起していた。
ガタンゴトン、──ガタガタ!
順調に運行中だった山手線外回りが、突然急停車した。
『──停止信号です、少々お待ち下さい。次の高田馬場駅で電車が詰まっているため、少々停車します──』
止まった車内で、乗客たちの様子は変わらない。通勤ラッシュ時の少しの遅延なんていつものこと、周りなんて誰も気にしない。
あたしは、男のスラックスのチャックを下げ、陰茎を取り出した。

「!!!」
驚く男の顔は、真っ赤になっている。
まずい、やめろと言いたげに目を泳がせてるけど、勃起は全然収まらないどころか、ヒクヒク波打って反応してる。
男の汗くさい匂いと、ペニスの放つ熱気がむわりと鼻をつく。
静かな電車内で、むき出しの生チンコを見たのなんて人生初だ。あたしはマックスまで興奮し、アソコの肉が熱くなり始めた。
この前クラブ仲間と行った海上アスレチックの、10メートルの飛び込み台から飛び降りた時以上のスリルに、頭がクラクラする。
スーツの黒いスラックスからニョッキリと伸び、所々赤味を帯びてくすんだ色の長さのあるチンコが、満員電車の中であまりにも異質で、あたしは凝視した。
そして、チンコの幹に添えた手を、上下にゆっくり動かした。
「、!!……、!!」
男は必死で声を抑えている。
見知らぬ若い女に車内でチンコを刺激されて、気持ちいいようだ。
(ヤバい、ヤバいよ、何コレ、エロい……)
男の手が若干震えながら、ショーパンの隙間から、あたしのアソコをなぞるように触ってきた。
「……はぁ、はァ」
男にもたれかかり、その男にしか聞こえない声で、耳元で息を吐く。
車内は、朝からゲッソリ疲れ顔のビジネスマンばっかりだ。みんな、これからの出勤が憂鬱って顔してる。
そんな人々に囲まれる中、うちらは性器を擦り、ドエロい行為をしてる。ここだけ異世界すぎてヤバい。
(あぁ、くうぅっ当たってる、ガチガチのが、当たってるよぉ……っ)

ショーパンの上から、生チンコを押し付けられる。太ももの素肌に、勃起チンコが擦れる感触。
クラクラしながら、あたしは考える。この会社員、普段はどういう男なんだろうか。
これから出社したら、大事な商談があったりするのかな。真面目な顔で、部下に指示したりすんのかな。郊外の戸建てに帰ったら家族がいたりして。
それなのに、電車でおっ勃てたチンコを知らない女に触られて、先走り漏らしまくって、日本のサラリーマン、マジ変態。ホント変態すぎでしょ。
あたしは、そんな男のチンコが無惨に射精するまで、しゃぶり尽くしてやりたくなった。
……あたし、根っからの筋肉質イケメン好きだったのに、どうしちゃったんだろホント。
昨日から、自分のことが意味わかんない。あたしの男遍歴全部知り尽くしてるアユミにすら、こんな淫行話、言えないね。
「ッッ……、!!」
オフショルの下から入り込んだ男の手に生乳を揉まれ、ショーパンの上から、ズリズリとくすんだ色のチンコで刺激される。
(あふっ、これ以上はヤバい、ヤバいよぉっ)
あたしも、男のチンコを掴んで摩擦する。
思ったけど、筋肉質イケメンって、立派で形のイイチンコをしてる男が多いけど、なんか、エロくないんだよね。
ホント模型みたいな、まっすぐ直立して色も形も整ってるみたいなチンコで、見惚れはするんだけど、あんまり興奮しない。
で、健康ボディのイケメンのセックスは、どこかスポーツみたいで、有酸素運動って感じ。女を抱く時の雰囲気が、ジムで筋トレしてる時と同じ。それなりに気持ちいいけど、ねっとりしてないっていうか。
いや、カッコいいはカッコいいで目の保養にはなるんだけど、いやらしくないんだよね、色々と整いすぎちゃってて。
それに比べて、ブサメンとかブサオジの、溜まって鬱屈した性欲っていうの? どこか歪んでねじ曲がってて、エロいんだよね。
ブサメンって、いびつなチンコも多いけど、それが逆に変態っぽくて興奮するっていうか。なんていうか、チンコの醸し出す熱気が、イケメンとは違う。チンコの醸し出す熱気? 何ソレ、アユミに言ったら爆笑通り越してドン引き確定だね。でも、そうとしか表現できないっていうか。
「ッ……ふ、ッ……!」
ていうか、ホント最高、男の硬いチンコって最高。
まさに弾力のある肉棒って感じで、こんなにエロい触り心地のモノ、この世にチンコ以外ないでしょ。
ああもぉ、ずっと触ってたくなっちゃう、しゃぶりたくなっちゃう……!
『電車が動きます、ご注意下さい』
「ゴホン、ゴホン」
発車すると、近くの中年サラリーマンがこっちを見た。怪しんでるのかもしれない。
駅に着くと、人波に押されて降車したあたしに、黒スーツの男が詰め寄る。

「ちょっと、あなたね、ちょっとこっちへ……」
あんなに勃起してたくせに、男はなぜか、NON STYLE井上似の顔を歪ませながら軽く激昂してる。
あたしは男と共に近くのトイレになだれ込み、個室に入り鍵をかけた。
男のズボンを引きずり下ろし、まだ硬さを保ったままのチンコを咥えた。
「ちょ、ちょっと、あなた、ちょっと……!!」
ズッチュ、ズッチュ。激しく戸惑う男に構わず、フェラを続ける。
ガチャン。
隣の個室に誰かが入った。ゴソゴソと用を足す音が聞こえる。
男のチンコは口の中でまたパンパンに膨らみ、いい加減イキたいとばかりに波打ち始めた。
「あむッんむ、ハア、ズチュッ」
頭がシビれる。今日イチ、クラブでアガってる時以上のエクスタシー。目から星飛びそう。頭ブッ飛びそう。
「ウッ、ウウッ……!!」
男のチンコがビクつく。パない。まじパない。こんな異常な状況でも性欲には抗えない、人間ってヤバいな──。
「ンッ! ンンーーッ……!!」
口の中いっぱいに、苦くベトつく体液が暴発した。
「──あ、駅員さん、そこです、そこの個室から変な音がするんですけど……」
遠くから、正義感に燃える男子学生的な人の話す声が聞こえた。
駅員が到着する前に、あたしと黒スーツ男は、急いでトイレから散り散りに逃げた。
あたしは再び山手線に乗り、自宅方面に向かう。
あの黒スーツ男、朝からあんな猥褻行為をしてきたのに、出社したら平然と会議に出るのかな。
静かな会議室で真面目な資料に目を通しながらも、スーツの下で股間を勃起させてるあの男の姿を想像すると、アソコがズキンッてした。
スマホを開き、何となくインスタを見ると、クラブ友の投稿がズラズラ流れる。
フォローしてるパリピのメンズたちが、今のあたしには別世界の人種に見えるんですけど──。
あたしはインスタを閉じ、昨日ふうたと出会った、例の掲示板を開いた。