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奴隷調教体験談|ご主人様に捨てられたメンヘラM女
M女の奴隷調教体験

カチ、カチ、カチ……。
深夜2時。
真っ暗な部屋のベッドに座る私は、3年ぶりに取り出したカッターの刃を繰り出してゆく。
ひやり。冷たい刃先を手首に当てると走る、チクッとした痛みが心地いい。
ああ、私はまた、この状態に戻ってきてしまった。
ご主人様に出会う前の状態だ。
死にたい、消えたい、そんな気持ちに押し潰されそうになりながら、何の希望もない毎日を鬱々と過ごしていた日々の記憶が蘇る。
「……」
窓際に置いたままの、ご主人様にもらったワインレッド色のレザーの首輪を見て胸が疼く。
「お前に似合う色だから」
と、ご主人様が選んでくれた首輪。
使い込んだその首輪には、今はうっすらとホコリが積もっている。
「……ご主人様、どうして? なんで、私の前からいなくなったの? どうして、返事すらくれないの……?」

ご主人様がいなくなった現実から逃げるように、再び通い始めた精神科で処方されたたくさんの薬の中から、睡眠薬を取って飲む。
「……」
今日こそは眠ろうと目を閉じても、また涙が溢れてきて眠れない。
私はまたカッターを手に取り、心の痛みを身体の痛みで中和させようとする。
腕にたくさん残った昔の白い傷跡の上に、数年ぶりに新たな傷がつく。
『もう会えない』
突然の連絡だった。
そのシンプルなメッセージが届いてから今日まで4か月間、ご主人様からの連絡は一切なくなった。
「ご主人様、何か、あったのですか?」
「私のこと、嫌いになったのですか……?」
「お願いです、一言でいいから、何でもいいから、返事が欲しいです……」
スマホのトークに表示される、すがるような私の連投メッセージは、すべて未読のまま。
こうして、既読がついているかも、と淡い期待を持ちトークを開いては、読まれていないことを確認して傷つくのはもう何度目だろう。
なんで? どうして?
ご主人様との別れなんて、辛すぎて受け入れられない。
主従関係にあった男性と別れた後、相手を憎み始める女性もいるようだけど、私はただただ辛く、いつも息苦しい絶望感に襲われている。

私にだめなところがあるなら、直します。
だから、また、ご主人様のあの麻縄で私をきつく縛って、身体中を踏みつけていただきたいのに──
そんな思いで頭が一杯になる。
ご主人様と最後に会ったとき、ずっとアナルプラグを入れてもらっていたお尻が、疼いてたまらない。
私専用の、大きなアナルプラグだった。
他にも、私だけの手枷や口枷、縄、様々な玩具、エロティックなドレスなど、ご主人様が私だけに用意してくれたものでいたぶっていただくことは、とても大きな幸福だった。
それなのに、身も心も何もかもがご主人様を欲しているのに、今は、声を聞くことも、一言のメッセージをもらうことすらも叶わない。

3年前、寂しさを埋めるようにサイトを通じて何人もの男に会っていたとき、現れたのがご主人様だった。
20歳になったばかりの私よりも一回り以上年上のご主人様は、私の醜く、汚いところも何もかもをつまびらかにし、全てをさらけ出させた。
生まれたままの姿で、首輪で繋がれ、麻縄で拘束されて、尻を踏みつけられながらご主人様の鞭でスパンキングを受けた私は、足の指先まで痺れ、陶酔した。
今まで出したことのない声で叫び、身体は火を吹きそうなほど感じていた。
全てから解放されたような気がした。
しもべのように扱われ、痛めつけられることが、こんなに気持ちいいなんて。
トランス状態のような意識の中、私はもう、このお方なしでは生きてはいけない、と思った。
この先の人生で、あんな状態になることはあるのだろうか。

縄や鞭で責められ、赤い痕をつけていただくのが好きだった。
私はご主人様のもの、という証を、もっと刻みつけてほしかった。
痛めつけられて気持ちよくなるほどに、私の中にずっと巣くっていた生き辛さが和らいだ。
生きることを許されるかのように、私はご主人様からたくさんの痛みと快楽を与えられた。
ご主人様に出会ってから、虚無感で満ちていた私の毎日に風穴が空き、息ができるようになったのだ。
生きているだけで苦しかったこの世界で、初めて普通に呼吸ができた。
通っていた精神科の先生にも、長年患っていた精神疾患が回復傾向と驚かれ、薬も通院も必要ないと言われるようになった。
……ご主人様がいなくなってからは、転げ落ちるように、以前の状態に戻ってしまったけど。
『おはようございまーす! 2月20日、今日のお天気は~……』
眠れないまま朝になり、早朝のニュース番組が始まった。
ご主人様がよく着ていた、グレーのスーツと似た服を着たアナウンサーが目に入り、心臓が苦しくなる。
また涙が溢れる。

「言いにくいけど、そのご主人様はもう戻ってこないと思う。気持ちを切り替えて、違う方向のことを考えたほうがいいよ」
以前、ご主人様に連れられて行った、SM愛好家が集うバーに、藁にもすがる思いでご主人様の行方を探しに来た私に、元SMクラブの女王様である店員の女性は言った。
「でも、私、ご主人様でないと無理なんです」
「あのね、人間は先に身体で動くと、脳を騙せるようになっているの。だから、過去を断ち切るには、別の道へ進むしかないのよ」
「けど、どうしても、ご主人様がいないとだめで、ずっと待ってるんです」
「鳴らないスマホ握りしめて何もせずにいるのって余計辛いでしょ。サイトを使っていたのなら、騙されたと思って、他の男性とやり取りだけでもしてみなさい」
涙目でうつむく私に、女性はきっぱり言い放つ。
「ご主人様が心変わりしたのか、それともどうにもならない事情が何かあったのかなんて、いくら考えてもわからないの。他人の考えは、何をどう想像しても絶対に知ることはできないのよ」
「でも……」
「いいから、その湿っぽい顔を上げて、前を向きなさい。サイトで来たメッセージには、世間話でも何でもいいからとりあえず全部返事をして、今目の前のことに集中して、とにかく忙しくするのよ」
女性の言う通り、私は再びサイトを再開した。

けれども、他の男性と連絡を交わすほど、ご主人様の良さが浮き彫りになる。
しつこくメッセージをしてくるくせに、住まいを間違えるなど、私のことをちゃんと見ていない既婚者。
会う予定すらしっかり立ててくれない若者。
そんな男性には、従うどころか、連絡をやり取りする気も起きない。
私が従いたいのは、私の全てを見て、全部掌握するほど、私を知り尽くそうとしてくれる人。
私がご主人様に従っていたのは、性欲だけではない。
精神的な部分でも大きな影響を与えられ、支えになっていたからだ。
思えば、私はご主人様に会う前から、すでに服従していた。
メッセージを重ね、時間をかけ、私はご主人様に取り込まれていった。
それに比べて、会う前からすでに幻滅している男性と、深い関係など築けるわけがない。
ご主人様がいない、この辛い現実を忘れさせてくれる人なんて、どこかにいるのだろうか。
誰とやり取りをしても、ご主人様との落差を感じるばかりだ。

真冬の寒さが特に厳しい日の午後。
私は駅へ向かった。
ガタンゴトン、ガタンゴトン……
都内から電車を乗り継ぎ、富士急行線で向かった河口湖駅でバスに乗り換え、風穴というバス停で降りる。
バス亭の古びたベンチには、
“もう生きれない”
“これで終わり”
“生死無常”
といった物々しい落書きが見える。
しばらく歩くと、見えてきた真っ暗な樹海へ入る。
月明かりに照らされた看板には、”1人で悩まず相談を”といった文字が浮かぶ。
誰に何を相談しても、ご主人様は戻ってこない。
ガサガサと、木の海を奥へと進む。
夕暮れの樹海は、この世の終わりのような暗さと静けさに満ちていた。
パサリ。
無数に生える木々の中から適当な木を選び、ご主人様がよく使っていた、私の汗と体液の染み込んだ麻縄を枝に掛け、丸い輪を作る。

──ご主人様なら、一生分かり合えると思った。
一生付いていきたかった
死ぬまで従いたかった
でも、その思いはもう、叶わない。
「ご主人様、さようなら……」
輪に頭をくぐらせ、ご主人様にもらった首輪の上に、その輪を乗せ、体重をかけようとする。
ざわざわ、ざわざわ。
聞こえるのは、木々のざわめく音だけ。
「……」
────、ドサッ
思いがけず、私は一人、地面に落下した。
側には、ほどけた縄が落ちていた。
バサバサ、バサッドサッ。
手を泥だらけにしながら、ずっと捨てられずにいた、ご主人様にもらった真紅の首輪を、泣きながら土に埋め、樹海を後にした。
バス停に戻ると、自動販売機の横にあるゴミ箱が目に入った。
これももう、いらない。
バサッ
カバンに入れたままにしていた麻縄を、ゴミ箱に放り投げる。
涙はもう乾ききり、手首の傷はかさぶたが取れかかっていた。

今日、ご主人様に調教された私は、一度死んだ。
ご主人様がいなくなっても、私はSMをしていないと死んでしまう。
SMがないと生きられない身体になった。
ちょうど来たバスに乗り、スマホを開く。
次のご主人様が見つかるまで、今夜もサイトを徘徊する。










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